●キーワード プラントオパール・プラントオパール分布図・イネ科植物の古植生

プラント・オパールとは

 植物珪酸体は高等植物(維管束植物や蘚苔植物など)の細胞組織に充填する非晶質含水珪酸と定義され、大部分の植物は各種細胞に珪酸を多少とも沈積させます。この植物珪酸はイネ科・カヤツリグサ科や羊歯植物の一部・蘚苔植物において含有量の高いことが知られ、そのうちイネ科については形態分類の研究が進められています。なお、プラント・オパールとは、植物珪酸体が、植物が枯れるなどして土壌中に保存されたものを指します。

●目的

 試料採取地点(遺跡)周辺におけるイネ科植物の古植生を復元することを目的とします。古植生の復元には花粉分析が主に用いられますが、台地や丘陵などに堆積した乾燥した土の中では花粉が残存しにくいという難点があります。一方、プラント・オパールはそうした乾燥した土の中でも残存するため、プラント・オパール分析は台地や丘陵部においてもイネ科植物の古植生を明らかにできるという長所があります。また、花粉分析の場合だと難しいイネ科に関するより細かい記述も、プラント・オパール分析では可能です(稲作・ヨシ原・ササ原など)。

●試料

 泥炭、有機質粘土、粘土、シルトなど堆積物

●分析方法

 試料約1g(秤量)に過酸化水素水を加え有機物を分解し、沈降法にて細粒部を除去します。残渣をグリセリンで封入し、生物顕微鏡(300-600倍)を用いて機動細胞珪酸体について同定、計数して試料1gあたりの検出個数を算出します。

●解析

 結果は図表にまとめ、試料採取地点(遺跡)周辺のイネ科植物の植生について検討します。


図 葉身表皮細胞中の植物珪酸体(近藤・佐瀬1986(第四紀研究))より